犬のクッシング症候群 薬代、食事と余命 – アジソン病との違いを解説

犬猫を飼うと、長生きしてほしいと思うのはどの飼い主も一緒だと思います。
その中で「クッシング症候群」や「アジソン病」という病気を聞いた事があるでしょうか。

名前が違うけれども、実は「副腎」という臓器に異常があって起こる病気です。

今回は、犬・猫に起こりやすい病気のクッシング症候群・アジソン病についてお話します。

■クッシング病とは■

クッシング病とは、左右の腎臓の上にある、「副腎」と呼ばれる臓器の異常です。
副腎は副腎皮質・副腎髄質に分かれており、それぞれ体にとても重要なホルモンを分泌しています。
副腎皮質から分泌されるホルモンを「副腎皮質ホルモン」と呼び、この副腎皮質ホルモンの1つである「コルチゾール」が過剰に分泌されてしまう病気をクッシング病=副腎皮質機能亢進症と言います。

副腎皮質機能亢進症は、副腎に病気があってコルチゾールが過剰に分泌される場合と、副腎に「ホルモンを出しなさい」と命令する脳の下垂体に異常があって副腎に命令を出し続けてしまい、コルチゾールが過剰に分泌されてしまう場合の2種類あります。

犬では、このホルモンを出しなさいと命令する脳の下垂体に異常がある場合を、副腎そのものに異常がある場合と区別して『クッシング病』と呼びます。

■クッシング病の症状■

クッシング病になると、どんな症状が出るのでしょうか。
具体的には、
・多飲、多尿
・ご飯をよく食べるようになる
・皮膚が薄くなる
・左右対称の脱毛が起こる(かゆみはない)
・太ってくる
・皮膚の色素沈着が起こる
・よく寝るようになる
・お腹が膨れてくる(腹部膨満)
この外見的症状の他に、糖尿病を併発することが多いです。

また、このクッシング病に良くなりやすい犬種として、ミニチュア・ダックスフント,トイ・プードル,ボクサーがあげられています。

■アジソン病とは■

では、同じ副腎に異常があって発症するアジソン病とはどのような病気なのでしょうか。
アジソン病は、副腎皮質から出る副腎皮質ホルモンの量が少なくなってしまうと発症する病気です。

7から8割がメス犬に発症すると言われています。
アジソン病の原因として、副腎の腫瘍や手術による摘出,出血などで、副腎皮質からのホルモン分泌が減少する事で発症します。

また、副腎皮質ホルモンは一般的に「ステロイドホルモン」とも呼ばれ、治療に使用されることも多いのですが、このステロイドホルモンの薬を急激にやめてしまう事で発症する場合もあります。
ステロイド剤は、獣医の処方通り使用すればよく効くとても良い薬なのですが、自己判断や副作用を理解していないと、そのステロイド剤によって別の病気が発症してしまう側面も持ちますので、使用には注意が必要です。

副腎皮質ホルモンが急激に少なくなった状態を「副腎クリーゼ」と呼び、急性副腎不全とも呼ばれています。
この状態は、アジソン病急性型とも呼ばれ、命に関わる危険な状態です。
発症するのは、すでにアジソン病にかかっている犬猫が大きなストレスを受けた時や、両側の副腎が同時に損傷を受けた時に発症します。

■アジソン病の症状■

アジソン病にかかるとどのような症状がでるのでしょうか。
具体的には、
・元気・食欲がなくなる
・下痢・嘔吐が起こる
・体重が減る
・多飲・多尿が起こる
・運動をしたがらない
上記のような症状が出ます。
一見これだけでは老化現象のように感じますが、いくつも当てはまる場合や、長期間症状が出る場合は、動物病院に行ってくださいね。
血液検査をすれば確定診断できることが多いです。

■最後に■

クッシング病とアジソン病。
名前は違えど、副腎から出ているホルモンの量に異常があるという事が分かって頂けましたでしょうか。

副腎皮質ホルモンが過剰に出る病気と減少してしまう病気。

全く正反対の症状が出ます。

しかし、いったん悪くなってしまった副腎や命令する器官の下垂体は元に戻ることはありません。
投薬は一生続けなければいけません。

早期発見をして、早期治療を始めれば、症状が出る前や最低限で済むはずです。
少しでもおかしいと思ったら、すぐに動物病院に相談に行ってくださいね!

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